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「血と皿」              

食事をしてるボクの背中に後ろから急に抱き付いていいよ。
スプーンの先でボクの歯が欠けちゃってもキミを怒らないよ。

キミの好きな風にしていいよ。
笑ってる時のキミが好きだよ。
まるで夏の朝、開く花のようだよ。
みんながキミのこと、ちょっとオカシイって言うけれど、ボクは構わない。
キミのためにくたびれて、もし滅びても。

ズット二人で一緒に居よう、冬の動物のようにピッタリ寄り添って、
さぁ、キミのスカートの中にボクをくるんで、抱きしめておくれよ。

今日は街に一人で出かけたの?
人ごみの中で何があったの?
心臓がオモチャの猿みたいになってまた目を回したの?
信号機の横のへこんだとこで、しゃがみこんでしまったの?
泣きながらボクの名前を何度も呼んだの?

キミの幸せを何に祈ろう、神様の名前をボクは知らないから
月と太陽に祈るよ、地面の下の虫たちに祈るよ。

食事をしてるボクの背中に後ろから急に抱き付いていいよ。
スプーンの先でボクの歯が欠けちゃってもキミを怒らないよ。

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